生きた乳酸菌を届けたい! ヨーグルト、漬物...何を選べばよい?/発酵食品

pixta_28649024_S.jpg便秘気味だから、体に良いからと、毎朝ヨーグルトを食べることを習慣にしている人も多いのではないでしょうか。ヨーグルトはもちろん、乳酸菌を使った発酵食品。最近は使われている乳酸菌の種類により機能性をうたった商品が続々登場し、スーパーマーケットに行くとたくさんのヨーグルトが並んでいます。

東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授の前橋健二先生に、ヨーグルトの乳酸菌の特徴について伺いました。

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「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」の違いとは?

ヨーグルトは腸内環境を整えるといわれますが、それは乳酸菌が腸に良い働きをする「善玉菌」であるから。ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を加えて作られますが、製造する際は通常2~3種類の乳酸菌を混ぜて使います。牛乳に含まれる糖をエサに繁殖して菌が繁殖することで乳酸発酵が行われ、ヨーグルトができあがります。

乳酸発酵食品のヨーグルトやチーズにすむ菌を「動物性乳酸菌」、ぬか漬けなどの漬物にすむ乳酸菌を「植物性乳酸菌」といいます。動物性と植物性では何が異なるのでしょう。
「植物性乳酸菌、動物性乳酸菌というのは菌の種類を分ける言葉ではありません。菌がどこにすんでいたかを示す呼び方で、"動物性食材由来""植物性食材由来"といいう意味ですね」と前橋先生。

しかしすんでいる環境によって性質には違いがあり、一般的には動物性乳酸菌よりも植物性乳酸菌の方が生きたまま腸に届きやすいと考えられています。

「野菜よりも牛乳の方が、菌にとっては栄養価の高い繁殖しやすい環境になります。栄養価の高い環境にすんでいる菌は過酷な環境に置かれると増殖しづらく、胃酸などに弱い傾向があります。

逆に野菜は菌にとってのエサが少ない環境のため、そんな環境下で増殖できる植物性乳酸菌は動物性乳酸菌よりも強い傾向があります。漬物などの植物性乳酸菌の方が腸に届きやすいといわれるのはそのためです」

 

 
腸に生きたまま菌が届く「プロバイオティクス」

動物性乳酸菌は生きたまま腸に届きにくいということは、ヨーグルトを食べることに意味はないということなのでしょうか。

「よく"生きた乳酸菌が腸に届く"という宣伝文句がありますが、動物性乳酸菌が生きたまま腸に届くのは困難です。しかし、意味がないわけではありません。乳酸菌が死んでしまったとしても腸内細菌のエサになることができます。もし生きたまま腸まで届けたいと思ったら、"プロバイオティクス"の商品を選ぶとよいでしょう」

「プロバイオティクス」とは"生きたまま腸に届き、健康に好影響を与える微生物"のこと。代表的なものにビフィズス菌や乳酸菌があり、種類によってもたらす効果が異なります。
最近ではプロバイオティクスと表示された乳製品が増えているのでご存じの方もいるのではないでしょうか。LG21、ビフィズス菌BB536、ガセリ菌SP株など菌の名前を冠した商品も多く、機能性ヨーグルトといわれる商品もプロバイオティクスです。

プロバイオティクスに似た言葉で「プレバイオティクス」というものもあります。これは"善玉菌を増殖する、または悪玉菌の増殖を抑制し、人に有益な効果をもたらす難消化性食品成分"という意味です。玉ねぎや豆類などに含まれるオリゴ糖や、海藻、オクラ、きのこ類などに含まれる食物繊維などがこれに相当します。

つまりプロバイオティクスが善玉菌の微生物で、そのエサになるものがプレバイオティクスというわけです。最近ではこの2つを組み合わせて相乗効果で体に良い影響を与えようという「シンバイオティクス」という考え方が広がっており、その考えに基づいたヨーグルトも登場しています。

 

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取材・文/ほなみかおり
※参考資料:『すべてがわかる!「発酵食品」事典』(小泉武夫・金内 誠・舘野真知子監修)、『図解でよくわかる発酵のきほん』(舘博監修)

 


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前橋健二(まえはし・けんじ)先生

1969年生まれ。東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。1994年東京農業大学農学研究科醸造学専攻修士課程修了、1999年博士号取得(農芸化学)。味や香りなど発酵調味料の特性をさまざまな科学的なアプローチにより研究している。著書に『旨みを醸し出す麹のふしぎな料理力』(共著、東京農業大学出版会)など。テレビや雑誌でも活躍中。

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