甘酒、納豆、漬物...日本の発酵食品はこんなに優秀!/発酵食品

pixta_40683411_S.jpg発酵食品は、微生物が増殖するためにエサを食べて代謝物を出すことにより物質に変化が起きて生み出されるものです。「あれ? 漬物の味が酸っぱくなったかも」と感じたら、それは微生物が生きている証しです。納豆のあのネバネバも、甘酒の甘みも、微生物の力のたまものなのです。

私たちの食生活の中にはたくさんの発酵食品がありますが、主な発酵食品の特徴や栄養成分を、東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授の前橋健二先生に伺いました。

前の記事「発酵食品は調味料で摂る! 塩麹、みそ、酢のおいしい効果/発酵食品(3)」はこちら。

 

●甘酒

甘酒には、おかゆから作るものと酒かすから作るものがありますが、ここでは前者のお話です。甘酒は、おかゆに水と米麹を加えて発酵させたものです。麹菌が米のでんぷんをブドウ糖に、たんぱく質をアミノ酸に分解します。発酵の過程でビタミンB群が生まれ、アミノ酸も豊富に含むものに変わります。

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甘酒が"飲む点滴"といわれるのは、点滴と同じような栄養効果があるから。江戸時代の人々が夏バテ対策に飲んでいたともいわれています。

「微生物によりすでに分解されているので体に吸収されやすく、夏バテには即効性がある栄養ドリンクです。私も体調がすぐれないときに甘酒を飲んでいます。希釈タイプの甘酒の原液200 mlに、大さじ1の酢を加えてよく混ぜて飲むのが好きです。酢を混ぜるとさわやかな飲み心地になりますよ」(前橋先生)

 
●納豆

納豆の発祥の歴史は定かではありませんが、大豆を稲わらに包んで自然発酵させるのが伝統的な製法です。納豆は蒸した(またはゆでた)大豆に納豆菌を加えて作られます。納豆菌は、1つの菌が15時間後には10億個にも増えるほど非常に強い繁殖力を持っています。

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「増殖力の強さは神秘的ともいえ、納豆は納豆菌の培養物のようなもの。発酵の過程で抗菌作用のあるジピコリン酸などさまざまな栄養素を生み出します」(前橋先生)

大豆が納豆菌により発酵することで、大豆になかったビタミンK2、ビタミンB2、ナットウキナーゼ、ジピコリン酸などが生まれます。大豆をそのまま食べるよりもはるかに豊かな健康効果を得ることができるのです。

納豆に似た食品は中国の豆鼓(とうち)、インドネシアのテンペ、ネパールのキネマなど各国にありますが、糸を引く納豆は日本特有のものです。

 
●漬物

漬物が日本でいつから作られたかは定かではありませんが、8世紀ごろにはウリやナスなどの漬物が作られていたという記録が残っています。漬物には梅干しなどの発酵を伴わない漬物と、ぬか漬けや麹漬けなど発酵を伴う漬物があります。発酵するタイプの漬物は、一般的に塩漬けにした野菜を乳酸菌の力で発酵させます。

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「乳酸菌は発酵の過程で乳酸を作り出します。古漬けが酸っぱくなるのはこの乳酸が増えたからなのです。漬物の原料となる野菜にすみつく乳酸菌は過酷な状況下でも繁殖でき、チーズやヨーグルトなどを作る乳酸菌、いわゆる動物性乳酸菌よりも酸に強いのが特徴です」(前橋先生)

野菜を乳酸発酵漬けにしたピクルスや、ドイツのキャベツの酢漬け「ザワークラウト」、韓国の「キムチ」など、漬物は日本だけでなく世界中で食されています。

 

次の記事「生きた乳酸菌を届けたい! ヨーグルト、漬物...何を選べばよい?/発酵食品(5)」はこちら。

取材・文/ほなみかおり
※参考資料:『すべてがわかる!「発酵食品」事典』(小泉武夫・金内 誠・舘野真知子監修)、『図解でよくわかる発酵のきほん』(舘博監修)

 


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前橋健二(まえはし・けんじ)先生

1969年生まれ。東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。1994年東京農業大学農学研究科醸造学専攻修士課程修了、1999年博士号取得(農芸化学)。味や香りなど発酵調味料の特性をさまざまな科学的なアプローチにより研究している。著書に『旨みを醸し出す麹のふしぎな料理力』(共著、東京農業大学出版会)など。テレビや雑誌でも活躍中。

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