身内の虐待は介護施設の14倍...介護疲れで「限界」を迎えないために、専門家が教える3つの対策

「今は元気な親だけど、いつか介護が必要になったら......」と、ふと不安になることはありませんか? 日々の仕事や家事に追われる中で、介護という重みが加わったとき、実は誰の身にも「心の限界」は忍び寄るものです。決して一部の特別な家庭の話ではなく、私たちのすぐ隣にある「介護疲れ」の現実。今回は、日本最大級の老人ホーム検索サイト「LIFULL 介護」の公開資料から、大切な家族と笑顔で過ごし続けるために今から知っておきたい、共倒れを防ぐためのヒントをご紹介します。

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身内の虐待は介護施設の14倍...「他人事ではない」家庭内虐待のリアル

厚生労働省の令和6年度調査によると、家族や親族など(養護者)による高齢者虐待の判断件数は17,133件でした。 最近注目されがちな施設職員による虐待件数(1,220件)と比較すると、実に14倍以上という多さです。

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なぜ、懸命に介護をしているはずの家族が、虐待に至ってしまうのでしょうか。 発生要因の第1位は本人の「認知症の症状(58.1%)」、次いで虐待者側の「介護疲れ・介護ストレス(57.1%)」、「理解力の不足や低下(49.6%)」と続いています(※)。
※出典:厚生労働省令和6年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

「LIFULL 介護」編集長の小菅秀樹氏は「昨今の介護は長期化している一方で、介護を続けても親の状態は衰えるばかりで介護の負担が増えていく状況が続きます。また、認知症の発症により介護サービスの利用や施設入居を拒否する方も見られ、介護者が説得しきれず、外部サービスに頼らずに家族のみで介護を続けるケースも一定数存在します。虐待は一部の家庭で起こるものと考えられがちですが、以上の経緯で介護者がストレスを貯め限界を迎えた末に虐待に発展することも多くあり、実はどの家庭でも起こりうるものなのです」と指摘しています。

限界を迎える前に。介護疲れを防ぎ、虐待を防止する3つの対策

介護疲れによる家族の共倒れや虐待を防ぐため、小菅編集長は以下の3つのアクションを提案しています。

1: "早めに"介護の専門職と接触機会をもつ

介護が本格化する前から地域包括支援センターなどへ相談し、第三者に頼る経験を重ねておくことが大切です。 これにより、その後のサービス利用や施設入居への心理的なハードルが下がります。

2: 「介護者の休息」のためにサービスを使う

出張などのやむを得ない事情がなくても、デイサービスやショートステイは利用可能です。 介護者がストレスを溜め込まないよう、定期的なリフレッシュのために活用し、時には要介護者と物理的な距離をとることも推奨されています。

3: 施設入居の選択肢を捨てない

家族の負担を軽減し、双方が安心して暮らし続けるために、施設入居を前向きな選択肢として視野に入れましょう。 事前に家族で話し合っておくことが大切です。

施設選びで後悔しない。虐待リスクを見抜く4つのポイント

一方で、介護施設での虐待も深刻な状況にあります。 2023年度の虐待判断件数は1,123件と、調査開始以降初めて1,000件を突破しました。 小菅編集長は、入居を検討している施設に虐待発生の可能性があるかどうかを見極めるため、以下の4つのポイントに注目すべきだと解説しています。

1: 職員の対応

職員の身だしなみが乱れていないか、入居者に対して威圧的だったり、子ども扱いするような言葉遣いをしていないかを確認します。 来訪者に対する挨拶が粗雑でないかもチェックポイントです。

2: 入居者の様子

入居者の髪や爪、服の手入れがされているか、食後などに長時間放置されていないかに注目します。 体に不自然なケガがないか、怯えている様子がないかも重要です。

3: 施設内の清掃状況

通路に物が放置されて転倒の危険がないか、トイレや浴室などの共用部が清潔に保たれているかを見ます。

4: 職員の雇用状況

離職率が極端に高くないか(目安は15%前後)、正社員の比率が著しく低くないかを確認します。 離職率の高さは過重労働や人間関係の悪化を示唆している可能性があります。

まとめ

「虐待」という言葉は重く響きますが、その多くは一生懸命に介護を頑張りすぎた結果、限界を超えてしまった姿でもあります。 大切な家族と良い関係を保ち続けるためには、早めに専門家の知恵や外部のサービスを借りることが欠かせません。 「家族がやるべき」と抱え込まず、まずは身近な相談窓口である地域包括支援センターを訪ねてみることが、穏やかな日々を守るための一つのきっかけになるかもしれません。

 

小菅プロフィール写真.jpg

株式会社LIFULLsenior「LIFULL介護」編集長
小菅秀樹(こすげひでき)
2008年に老人ホーム紹介センターの入居相談員として介護業界のキャリアをスタート。老人ホームを探している入居希望者の相談を受け、入居までのサポートを実施した後、入居相談コールセンターのマネジメント、コンテンツマーケティングを経て、2013年に株式会社LIFULLへ入社。2019年より現職。TV、ラジオ、新聞、雑誌、webメディア等で介護や高齢期の諸問題について解説・監修。多数の一般向け/企業向け介護セミナーに登壇。

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