「心の病」を抱え、外にも出られない人と繋がるには...思い至ったSNSの可能性/マインドトーク(2)

年を重ねてゆく中で、誰にも相談できない悩みを抱えている方や、子供の気持ちがわからない...と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。SNSで注目を集める臨床心理士・みたらし加奈さんは、そんな人にぜひ「マインドトーク(自分との対話)をしてほしい」と言います。そんなみたらしさんの心理学エッセイ『マインドトーク あなたと私の心の話』(ハガツサブックス)より、「彼女が歩んできた人生の物語」を8日間連続でご紹介。きっと、あなたの悩みを軽くする助けにもなるはずです。

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SNSで活動するために

今、日本の15〜39歳の一番の死因は自殺である。

これは先進国の中で、日本と韓国だけだ。

こう話すと語弊があるかもしれないが、つい頑張りすぎてしまう私たちは、自分の首を絞めながら、他人の首をも絞めている可能性がある。

食べ物も緑も豊かなこの国で、少子化が起こり、若者の死因の1位が自殺であることについて、私たちはもっと真剣に向き合うべきなのだ。

現代の日本では、心の病を抱えている人の多くが医療機関を受診できていないという現状がある。

家を出て病院に行くまでの道のり、そして待ち時間を含めて、通院にはある程度の体力と気力がいる。

何かしんどいことがあっても、「病院に行く」というハードルを考えるだけで、億劫になってしまう人たちは少なくない。

医療機関を利用していない理由には精神科やカウンセリングへの抵抗感も挙げられるが、「しんどすぎて、外に出られない」人だって多くいるはずなのだ。

街ですれ違うだけの相手と簡単につながれることはSNSの利点でもあり、携帯を起動してアプリを開くだけなら、そこまで負担にならない。

インターネットが普及している今だからこそ、私たち専門職ができることの可能性は無限大だ。

しかし、臨床心理学のベースになっているさまざまな「学問」において、SNSの可能性は想定されていない。

だからこそ、手探りをしながらでも、「今できる最大限の可能性」を模索していくことの大切さを感じている。

私はSNSを使って「外に出られない人」に何かしらのアプローチができないかを考えた。

私が従事する「臨床心理士」とは非常に特殊な仕事で、基本的には狭いコミュニティの中で業務を行っていくことが多い。

目の前の相手と信頼関係を築いていくことが主になるため、どうしても社会に精神疾患の現状を訴えていくことは難しい。

考え抜いた結果が、Instagramでのフィード投稿だった。

私は女性で、自分の人生に傷ついたり立ち直ったりしながら生きてきた、そんな「普通」の人間だ。

あえてカテゴライズするならば、臨床心理士で、女性のパートナーがいるというだけ。

でももしかしたら、その「ありのままの姿」で発信することが、時に誰かの心の拠り所になり得るかもしれない。

だからこそ、私の知っていることを、学んできたことを、問題として捉えていることを、とにかく伝え続けようと思ったのだ。

こうして、「みたらし加奈」は誕生した。

【次回のエピソード】誰だって「何かを言う」ことで「人を傷つける」可能性がある。大切なことは...

【まとめ読み】『マインドトーク』記事リスト

mindtalk_H1_obi_001.jpg5章にわたって、みたらし加奈さんが自身の体験記やお悩み相談への回答を通して、悩みを抱える人々へ「生きる選択肢を広げる」ヒントを教えてくれます。

 

みたらし加奈(みたらし かな)

1993年、東京都生まれ。臨床心理士。SNSを通して、精神疾患の認知を広める活動を行なっている。大学院卒業後は、総合病院の精神科にて勤務。現在は、フリーランスの活動をメインに行っている。女性のパートナーと共にYoutubeチャンネル「わがしChannel」も配信中。

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『マインドトーク あなたと私の心の話』

(みたらし加奈/ハガツサ ブックス)

誰にも相談できない悩みを抱え、精神的に疲れてしまった…そんなあなたは、生きる選択肢を広げるために「マインドトーク」をしてみませんか? 自分と対話し、もう一度「生きる」と向き合ってみることで心がフッと軽くなるかもしれません。SNSで注目を集める臨床心理士・みたらし加奈さんが、自身の体験を包み隠さず伝えることで、悩みを抱えるすべての人たちとの対話を試みる、話題の一冊です。

※この記事は『マインドトーク あなたと私の心の話』(みたらし加奈/ハガツサ ブックス)からの抜粋です。
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