人気精神科医が伝授する「ひとり暮らしを楽しむ準備」(1)年1回「エンディングノート」を書きましょう

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「ひとりになったとき、どのように暮らしていくか、ということは、誰もが考えておく必要があります。心も体も準備しておくことが、結果として安心につながります。夫婦であっても必ずどちらかが先に逝き、最後はひとりになるのですから」と、がん患者の精神的ケアの分野で活躍する精神科医の保坂 隆先生。
そこで、ひとり暮らしを楽しく過ごす"コツ"を保坂先生に伺いました。

  

生きる上で欠かせないのが人との関わりです。ひとり暮らしをしていくなかでは、三つの分野での支えがあると安心して暮らしていけると、保坂先生は提言します。
「運動や食事に注意して健康を保つのと同じように、自分を支えるものとして、三つのソーシャルサポートを得られる人間関係を構築することを意識しましょう。
まずは、この人といると癒やされるなという『情緒的ソーシャルサポート』。もう一つは実際に困ったときに助けてもらえる『手段的ソーシャルサポート』。最後に、必要な情報を提供してくれる『情報的ソーシャルサポート』です。家族に限らず、友人や知人など、自分の周囲の人間関係を見回して、それぞれ2人ほどいるのがベストです。もし誰も見当たらなくても、いまからでも遅くはありません。お互いに『病気になったら病院の送迎をし合おう』など、お互いさまの関係を意識すると無理なく自然に関係が築けると思います」

  

年に一度、心の整理をしましょう

保坂先生のおすすめは「エンディングノート」をつけること。「エンディングノート」とは、人生の最終章に備え自分の希望をまとめて書いておくノートのことです。意識障害の患者を多く見てきた精神科医の保坂 隆先生は、医師の立場からも明文化をすすめます。
「健康寿命の平均は男性が71歳、女性が74歳、健康でいられる時間は意外と短いのです。だからエンディングノートを書き、年1回内容を更新して家族と話をしましょう。何が大切か、これから何をしたいか、自身の心を整理することにもつながります」
保坂先生は、大きく以下の4つのことを書くとよいといいます。書式は自由でOKですが、書き方に迷ったら、文房具店などで販売されている市販のエンディングノートを使うのもおすすめです。年に一度の"心の整理"をし、自分自身を見つめてみませんか?

  

エンディングノートに書いておきたいこと

◆自分史
いままでの人生を書くことで、人生の棚卸しの機会になります。生い立ち、学生時代や仕事、楽しかったことやつらかったことなど順に思い出しながら書いてみましょう。

◆財産・相続
お金のことは家族間のトラブルになることも多いので、意思を伝えておきましょう。財産の管理をお願いしたい人はだれ? 財産分与や形見分けをどうする? 遺言書はある?など。

◆医療・介護
治療や介護をどのようにしたいですか? 持病はあるか、介護を誰に頼むか、病名・余命の告知を希望するかなど、健康や暮らしに関わる意思を伝えましょう。

◆葬儀・お墓
自分が亡くなったら葬儀やお墓はどうしたいか、葬儀のときに連絡をしてほしい人、してほしくない人、遺影に使いたい写真など、希望を伝えましょう。

後編:「人気精神科医が伝授する「ひとり暮らしを楽しむ準備」(2)心がイライラした時の解消法」はこちら。

  

<教えてくれた人>
保坂 隆(ほさか・たかし)先生

1952年生まれ。医学博士。2017年7月まで聖路加国際病院リエゾンセンター長、同精神腫瘍科部長。専門は精神医学、心身医学など。『心が軽くなる「老後の整理術」』(PHP文庫)など著書多数。

この記事は『毎日が発見』2017年8月号に掲載の情報です。
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