家事が苦手な私が男性と付き合う中で感じた...「ぬぐいきれない違和感」/マインドトーク(5)

年を重ねてゆく中で、誰にも相談できない悩みを抱えている方や、子供の気持ちがわからない...と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。SNSで注目を集める臨床心理士・みたらし加奈さんは、そんな人にぜひ「マインドトーク(自分との対話)をしてほしい」と言います。そんなみたらしさんの心理学エッセイ『マインドトーク あなたと私の心の話』(ハガツサブックス)より、「彼女が歩んできた人生の物語」を8日間連続でご紹介。きっと、あなたの悩みを軽くする助けにもなるはずです。

マインドトーク05.jpg

「男性像」への違和感

初めて私が違和感を抱いたのは、当時お付き合いをしていた男性が発した「君の料理を食べてみたい」という何気ないひと言だった。

その文脈は単に「交際相手の知らない一面を見てみたい」というものではなく、「女性はキッチンに立つことが当たり前で、だからこそ君の料理を味見してみたい」という流れだったと記憶している。

心の中のモヤモヤを解明できないまま、なんとなく「もしかしたら結婚観が合わないのかもしれない」と思い、「もしあなたが誰かと結婚したとして、そしたら奥さんに家事をしてほしいと思う?」と問いかけると、「もちろんだよ。だってそれが奥さんの仕事みたいなものでしょ?」と返ってきた。

その前提には、当たり前のように「お金という対価を与えているのだから、労働=家事をしてほしい」という思いが含まれていた。

そこに私の意見が受け入れられる余地は見えなかったし、なんなら「家事ってラクなことでしょ! 働くよりはマシじゃん!」という思想すら垣間見えた。

私は言葉にならない恐怖心を覚え、その相手との未来を考えられなくなってしまった。

そして自分が「扱いにくい、面倒くさい女」と形容されるような気がして、そんな自分に憤りすら覚えた。

はっきり言って、私は家事が苦手だ。

料理だって、心の底から楽しんでできない。

そんな私にとって、結婚をすることで苗字を失い、「生活をさせてあげる」という対価をちらつかせられながら好きではない労働を強いられることを息苦しく感じてしまった。

もちろん、夫婦関係によってその状況は変わってくるだろうし、苗字が変わることや家事をすることを選択する人たちを否定するつもりは毛頭ない。

ただ私にとっては、「選択できないこと」を強いられる可能性がしんどかった。

「自分で好きなほうを選ぶ」のではなく、「なんとなく世の中の風潮がこうだから、そうするしかない」という空気感が嫌だったのだ。

しかし、その気持ちをうまく言語化できない自分にもモヤモヤを抱えていた。

そしてそれは決して、「パートナー間」だけの問題ではない。

例えば、夫が妻の苗字にすれば「マスオさん」と呼ばれることだってあるし、夫が「主夫」で家事や子育てをすることに対する偏見はまだまだ根強いと思う。

夫婦間で話し合ってお互いの納得できる結論が出たとしても、周りの人たちから受ける偏見に苦しまなくてはならない場合もある。

世の中の「ジェンダーバイアス」がなくならない限り、「女」と「男」が一緒にいることでしんどさを抱えてしまう人たちがいて、私はその「しんどさ」を敏感に感じ取ってしまっていたのかもしれない。

【次回のエピソード】「生きる意義」なんて見つけ出さなくていい。でも「生きること」からは逃げないで

【まとめ読み】『マインドトーク』記事リスト

mindtalk_H1_obi_001.jpg5章にわたって、みたらし加奈さんが自身の体験記やお悩み相談への回答を通して、悩みを抱える人々へ「生きる選択肢を広げる」ヒントを教えてくれます。

 

みたらし加奈(みたらし かな)

1993年、東京都生まれ。臨床心理士。SNSを通して、精神疾患の認知を広める活動を行なっている。大学院卒業後は、総合病院の精神科にて勤務。現在は、フリーランスの活動をメインに行っている。女性のパートナーと共にYoutubeチャンネル「わがしChannel」も配信中。

mindtalk_H1‗002.jpg


『マインドトーク あなたと私の心の話』

(みたらし加奈/ハガツサ ブックス)

誰にも相談できない悩みを抱え、精神的に疲れてしまった…そんなあなたは、生きる選択肢を広げるために「マインドトーク」をしてみませんか? 自分と対話し、もう一度「生きる」と向き合ってみることで心がフッと軽くなるかもしれません。SNSで注目を集める臨床心理士・みたらし加奈さんが、自身の体験を包み隠さず伝えることで、悩みを抱えるすべての人たちとの対話を試みる、話題の一冊です。

※この記事は『マインドトーク あなたと私の心の話』(みたらし加奈/ハガツサ ブックス)からの抜粋です。
PAGE TOP