「悪いところは全部持っていってくれたんだね」愛犬の死後、母に起きた「不思議な変化」とは<後編>

「父が亡くなって以来、一人暮らしをしている80代の母。経営していたお店を畳んだことや、飼っていた老犬クーの散歩の回数が減ってきたことが原因なのか、元気がなくなっていきました。入院させるべきか兄と相談していた矢先、クーが亡くなったのです。ますます気落ちするのではと、心配していたのですが、母に驚くべき変化が見られるようになりました」

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■父が生きていた頃の生き生きした母に戻ったよう...

愛犬の死を悲しむ以上に母のことが心配で、兄妹で毎日母の元に通いました。

ところが早く母に元気を取り戻してもらおうと、犬の写真を飾っていると「写真を見ると思い出して悲しくなるから、飾らないで」と言うではありませんか。

まあ、それもそうかと思い飾るのをやめました。

それから母は自分から犬の話をすることはほとんどありませんでした。

こちらから話をふると涙ぐみますが、テレビを観て笑うことも多くなり、何より驚いたことに「デイサービスへ行ってみたい」と言い出したのです。

デイサービスに行くようになった母は、そこでの話を楽しそうにし、動くことで食欲も出て、何より生き生きとしてきました。

父のことでメソメソとすることもめっきり減り、時折犬の話をしては涙ぐみ、けれどすぐにテレビを観て笑う、父が生きていた頃の母に戻ったようでした。

兄と「まるでクーがばあちゃんの悪いところを全部持っていってくれたみたいだね」と話していると、「なんのこと? 悪いところなんて一つもなかったよ?」と、とぼけた答えを返すのも昔の母のようです。

それどころか「そろそろまた犬でも飼おうかな」と言うので、それは兄と全力で止めました。

あとどのくらい一緒にいられるかわからないけれど、今しばらくこんな平穏な日々が続いてくれたら幸せだなあと思うこの頃なのです。

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