「私が14歳の頃、父が出張先の京都で愛人を作ったせいで、家庭は冷え切っていました。無言で耐え続ける母に我慢ができなくなった私は、父に愛人に電話をさせ、直接対決することに...」
親や夫、子ども、友人に職場の同僚、ご近所さん...。アラフィフ女性を中心に、みなさんから寄せられた人間関係の「モヤモヤ」「スカッと」「泣ける」実体験エピソードを、過去の人気記事をもとにして漫画で再構成しました。この時、あなたならどうしますか?
耳元で鳴るコール音よりも自分の心臓がうるさく鳴っていました。
「絶対出て!」と念じながらも、罵倒しようか、泣き叫ぼうか、どの作戦を実行しようかと考えていました。
私からの突然の電話に驚きながらも、落ち着いた京都弁で話すその人は、柔らかな雰囲気の美しい声でした。
娘と名乗った後の私といえば、相槌を打つだけの完全な聞き役。
不思議なことに、相手に悪い印象を与えないように、彼女の言い分を否定することなく、物わかりの良い娘を演じていたのでした。
今でも自分の言葉が信じられませんが、「お父さんと一緒に京都に遊びに来てね」という謎のお誘いにも「ありがとうございます」と返す始末でした。
相手の女性は、「いろいろな愛し方があるよね」とか、「お父さんは○○さん(母)も、○○ちゃん(私)のことも本当に大切に想っているのよ」などと言っていたような記憶があります。
あまりに身勝手な言い分、それを子どもに言い放つ傲慢さに、今は呆れてしまいますが、当時の私は「そうなんだ」と受け入れたのです。
緊張のあまり思考停止になっていたのかもしれません。
この電話の後、私は謎の体調不良で3日ほど高熱を出しました。
知恵熱のようなものだったのかもしれませんね。
しかし、この私の電話対応が要因になったかは不明ですが、結果、少ししてこの不倫関係は終わったようです。
もしかしたら、相手の方はうんうんと自分の話を聞く私に、「娘まで一緒についてくるのかもしれない」という想定外の焦りを感じたのかもしれません。
もちろん、当時の私にそんな計算はありませんでしたが、「父は渡さない」という執念が、言葉になくとも通じたのかもしれません。
我ながら無意識のファインプレイだったな、とあれから30年近くたった今、しみじみと思います。
漫画:とんちきくま/原案:「毎日が発見ネット」みなさんの体験記
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