「自分が亡くなったとき、大切な人たちに何を残せるかな...。20代で早世した幼馴染のことを思い出すたびに、そんなことを考えます。憎まれ口ばかり叩いていたけれど、家族や友人思いで憎めない人でした。彼の大切な妹さんは、今では立派な母親になっています。このことを彼に伝え、一緒に喜びたいな...なんて考える今日この頃です」
親や夫、子ども、友人に職場の同僚、ご近所さん...。アラフィフ女性を中心に、みなさんから寄せられた人間関係の「モヤモヤ」「スカッと」「泣ける」実体験エピソードを、過去の人気記事をもとにして漫画で再構成しました。この時、あなたならどうしますか?
その後、治療のかいがあり、A君は高校へ進学し、就職しました。
私も就職して地元を離れていたのですが、心のどこかで「もう、大丈夫」と思い込んでいました。
ところが、今から23年前、私が28歳のとき、A君は病状が悪化し25歳の若さで天国に旅立ってしまったのです。
母から連絡を受けたときは頭が真っ白になり、言葉が出ないまま涙だけがこぼれてきました。
もう一緒に笑い合えない現実を受け入れるのは辛かったです。
翌日、仕事を休んでお別れに駆けつけた私に、A君のお母さんからA君が私にあてた手紙を渡されました。
彼らしくないと思い驚きながらも読んでみると、書かれていたのは私との思い出と、妹に対する愛情と心配でした。
特に、お兄ちゃんが大好きなのに1人になってしまうBちゃんのことを考えると涙が溢れました。
そう言えば、子どもの頃からA君は、いつもBちゃんをイジリながらもよく面倒を見ていたっけ。
きっと、Bちゃんにも素直に想いを伝えられていないと気が付いて、悪化していく症状のなかで一生懸命に手紙を書いてくれたのでしょう。
これは、ちゃんと応えなくてはいけない。
そんな思いから、Bちゃんとは連絡を切らさないように心掛けてきました。
そして現在。
当時、23歳だったBちゃんは持ち前の明るさを失わずご両親をしっかり支えて、今では46歳で3児の母になっています。
久し振りにA君にお線香をあげたとき「期待されたほど力になれなかったかもしれない。でも、Bちゃんは自分でちゃんと立派にしていますよ。すごい妹ですね」と手を合わせながら心で話しかけました。
漫画:佐々木ひさ枝/原案:「毎日が発見ネット」みなさんの体験記
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