【高校の同窓会】嬉しい再会もショックな訃報も...高校の同窓会は玉手箱を開けた気分でした

ペンネーム:みすず
性別:女
年齢:55
プロフィール:独身です。この歳まで1回も同窓会に参加したことがありませんでした。そんな私が同窓会に参加しようと思ったきっかけとその心境をお話します。

※毎日が発見ネットに掲載された体験記を再構成してお届けします。この体験記が書かれたのはコロナ禍前です。

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今まで何回の同窓会の案内が来たことか。

参加する気がなく、案内が来るたびに「同窓会あるんだ」と案内状を見るものの、そのままそこら辺にポイ。

結局、日程を気にとめたこともなく、不参加の返信すら一度も送りませんでした。

私が通った高校は1学年270人定員の普通科の男女共学でした。

懐かしい思い出が詰まった高校時代。

でも、高校を離れてからいろいろな人間関係が形成されると、同級生とは今さら話は合わないだろうし、仲の良い友達とは個人的に連絡を取っていたこともあり、同窓会の興味は年々薄れていきました。

1年生の時に付き合っていると噂された、仲の良かった男性には会ってみたい、彼に会えるのなら同窓会に参加してもいいかも、そう思いましたが、3年生のときは違うクラスだったので、クラス単位の同窓会では会えなかったのです。

彼は1年の時のクラスメートで、よく席が前と後ろになって、話しているうちにだんだん一緒にいるのが楽しくなりました。

2年生になってクラスが変わってから、私は彼が好きなことに気づきました。

でも、それを意識したとたん、別のクラスになってもよく話しかけてくれたのに、私のほうがそっけない態度をとるようになってしまい、だんだんと距離が生まれました。

結局、私は他の人と付き合うことになり、彼に思いを打ち明けることなく卒業してしまいました。

時は流れ、ある年の2月に学年同窓会の案内が届きました。

今まで興味のなかった私ですが、ついに参加しようという気になりました。

学年同窓会なら彼に会えるかも?と思ったことに加え、母の病気も影響していました。

その頃、突然母が病気で入院したことで、私の生活は一転していました。

人間、急に何が起こるか分かりません。

私ももう55歳、ある日突然、病気になることもあるかもしれません。

病気になったら同窓会なんて行けなくなるかもしれない、そう思ったので参加を決めたのです。

予定された会場は、学年同窓会にしてはすごく狭い場所でした。

そんなに多くの参加者はいないのだろうと想像できました。

5月中旬の当日、緊張しながら会場に向かいました。

案の状、参加者は少なく、270人の中の50人ほどでした。

学年同窓会なので、当時から面識のない人も記憶にない人もいますし、面影は残すものの、みんないいおじさんとおばさんです。

高校以来だったので、急に玉手箱を開けてしまったような心境でした。

一番感動したのは、80代になられる先生2人が元気に参加していたことでした。

先生の姿を拝見して、楽しい授業のことや怒られたこと、たわいないことなど、高校時代の思い出が駆け巡りました。

しかし、悲しいこともありました。

それは、会の挨拶の中で亡くなられた方の名前を読み上げられたときです。

正直ショックは隠せませんでした。

当時、可愛らしくて印象に残っている、女の子のクラスメートもいました。

あの子は、もうこの世の人ではないのだと思ったとき、彼女の笑顔が浮かんできました。

これから一人、また一人と永遠に会えなくなっていくのだと思うと、同窓会に参加して良かったと思いました。

懐かしい話をはじめ、子どもの話から孫の話、親の介護の話など、55歳世代に相応しい近況が飛び交いながら、時間はあっという間に流れていきました。

初めて参加して、同窓会には特別な空気があるのだと実感。

生きてきた道はそれぞれ違っていても、同じ時代を生きてきた同志です。

次回は5年後か10年後なのか分かりませんが、いつまで参加できるのか、またお互い会えることを喜び合う会になるのだと思います。

いつかは好きだったあの彼に会えるかも、それも楽しみのひとつになりました。

また、当時は仲が良いわけではなかったけれど、今の家が近くということで、同窓会をきっかけに女性同士で一緒にランチをしたり、スポーツジムに通ったりなど、新たな交流もはじまりました。

高校卒業してから、一度も開けることのなかった玉手箱。

そこで見たものは、18歳からいっきに55歳になった私が、「同窓会っていいものだね」とほほ笑んでいる光景でした。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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