性別:女性
年齢:51歳
子どもはふたり。シフト制のパート勤務。父は亡くなり、近所に住んでいる70代後半の実母を介護中。
※毎日が発見ネットに掲載された体験記を再構成してお届けします。この体験記が書かれたのはコロナ禍前です。
母は糖尿病で、手がしびれるとか頭が痛いとか言ってすぐに休みます。
でも、甘いものを食べることはやめません。
孫に「アイスを買ってきて」と頼むこともあります。
しかし、孫たちも甘いものを食べさせてはいけないと分かっているので買ってきません。
すると、自分で近くのコンビニまで出かけて、アイスを買ってきて勝手に食べてしまいます。
知らぬ存ぜぬの顔をしていますが、口のまわりにチョコレートがついたまま...。
味覚が落ちて、普段の食事が億劫なのかもしれません。
甘いものにしか興味を示さず、たまにご飯をちゃんと食べると「見てみて、全部食べたよ。偉いでしょう」と空の皿を見せてきます。
年をとると童に返ると言いますが、まさに子どもと接しているような気分です。
入れ歯の扱いにも困っています。
父が亡くなる前には、入れ歯をしないでいると「子どもたちが嫌がるからちゃんと入れてください!」と怒っていたくせに、自分は入れるのを嫌がります。
さすがに人前に出るのはみっともないから、マスクをするようにお願いしています。
何でもかんでも手を差しのべてしまうと、できなくなることが増えるのも分かりました。
ある時、母が「どうやって受付したらいいか分からない。一人で病院に行けない」と言い始めました。
これは甘やかしてはいけないと思い、一緒に病院には行くけれど、付き添うだけにしました。
受付も支払いも自分でやってもらって、私はそばで見ているだけ。
子どもを初めて学校に通わせるときに、自分で迷わずに歩いていけるか、そばで見守っていたのと同じ気持ちです。
子どもは、一度できたら次は大丈夫かなと安心できます。
毎日できることが増えていくばかりです。
でも、母はその逆で、毎日できることが減っていくので寂しいです。
そうして、何でも「はい、どうぞ」とやってあげてしまうと、さらにできないことが増えてしまいます。
心を鬼にして、できるだけ手を貸さないで、自分でできることはやってもらおうと思っています。
食事の支度も買い物も代わりにやってあげることはできますが、毎日の家事を取り上げるのはよくないと思って、できるだけやってもらっています。
ただ、負荷が大きい作業は手伝うようにしています。
子育ても、手をかけすぎず見守ることが大事だと言いますが、介護も似ているのかもしれません。
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- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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