<この体験記を書いた人>
ペンネーム:おこめ
性別:女
年齢:45
プロフィール:夫・子供二人・派遣社員只今自粛中。
新型コロナウイルスの影響で、マスクや消毒液の買い占めが起きたニュースを見て、東日本大震災を思い出しました。
その当時、私(35歳)はコンビニエンスストアでパートをしていました。
場所は東京のはずれで、交通は不便ではない場所でしたが、東日本大震災が起きてから物流が途絶えました。
そんな中、お客様が真っ青な顔をして何組も来店されました。
そして開口一番に「水ある?」「ガスボンベある?」「乾電池ある?」と。
品切れと伝えると、何も買わずに帰られました。
世の中で品薄になっていた商品は、もちろんうちのコンビニでも在庫切れです。
「注文はしていますが...搬入されるかはわかりません」
そうお客様に答えると、「搬入は何時なの?」とたくさんのお客様に聞かれました。
続々と焦ってお客様が来店する姿を見て、恐怖を感じました。
「本当はあるんでしょ?」と疑いの目で見られたり、在庫切れと伝えると「納品の時間に来るから教えて!」と怒鳴られたり。
余震が怖いだけでなく、「接客」にも不安な日々を送りました。
忘れられないことがあります。
ある日、お水(500ml・24本入りが3箱)が搬入されたときのことです。
搬入の時間を把握されていた、50代くらいの男性が来店して、そのお水を冷蔵庫に陳列しようとした私達の手を止めて...箱買いしようとしたのです。
その当時、「1人何本」というルールは作られていませんでした。
でも、さすがに3箱しかないのに箱買いは...と思い「他のお客様も来店されるので」と言っってしまった私。
すると、その男性は「そんな決まりないだろ!」と、大声で怒鳴ったのです。
あまりのことに...怖くなって、店長に対応を変わってもらったことを覚えています。
「店員の態度がなってない!」そう、店長に怒鳴って箱買いしていった男性。
みんな困っているのに、自分が良ければそれでいいという精神を垣間見た出来事でした。
また、地震の後は余震もたくさんありました。
震度5や4が多かったです。
地面が揺れ始める前に緊急地震速報が携帯で鳴り、急いで自動ドアを開けっぱなしにしてロックをし、その時買い物しているお客様に「地震です、避難してください」と声を掛けました。
コンビニの棚がガタガタ揺れて、また大きな地震が来たらどうしようと思いました。
お客様も同じ気持ちの方が多いのか、持ってる買い物かごや商品を置き、急いで駐車場まで出てくれました。
でも。地震がおさまるとまた通常通り買い物を続けます。
ですがある日、お客様(男性・40代くらい)が買い物していると震度4強近くの地震がありました。
「地震です!」と声をかけると、その人は満面の笑みでこちらを振り返りました。
そしてそのまま買い物を続けるのです。
もう一度「地震です!」と声をかけると、うんうんと笑顔で頷いて買い物を続ける男性。
何もおっしゃらなかったけど「大丈夫だよ!」って言ってるようでした。
でも、男性が買い物をやめないと私が避難できない......。
自動ドア付近でいつでも逃げられる準備をする私。
そんな中、二度目の地震が来たのでもう一度声をかけると「大丈夫、大丈夫!」と満面の笑み。
私が怖がっていると思ってるんでしょうけど、「私は避難したい! 一緒に死にたくないんです!」と心の中で叫びました。
自分だけよければいいと思っている人、協力的な人、なぜか自分だけは大丈夫と思っている人......非常事態にはその人の本質というか、根っこの部分が見えてくる気がします。
それは、地震でもコロナでも変わらないんでしょうね。
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