「おじさん、おばさんで行っても楽しめないんじゃない?」アラ還妻から「夢の国」の提案に無神経な夫は...<前編>

「公務員として勤務して35年。昨年2歳下の妻と銀婚式を祝ったばかりです。2人の子どもも独立し、久々に二人きりの生活が始まりました。ある日、妻からディズニーシーへ誘われたんです。しかし、私の態度が妻の逆鱗に触れてしまったようで...」

「おじさん、おばさんで行っても楽しめないんじゃない?」アラ還妻から「夢の国」の提案に無神経な夫は...<前編> 25.jpg

■ガイドブック片手に距離を縮めてきた妻に...

公務員として勤続35年。

見合い結婚の2つ下の妻との共働きも25年が過ぎ、昨年は銀婚式を祝いました。

二人の子どもにも恵まれ、25歳の上の娘は親と同じく公務員に、22歳の下の息子もこの春無事就職、悪戦苦闘の子育ても卒業です。

子どもらが独立し、久々に二人きりの生活が始まりました。

「新婚気分ね」、妻はそう言いながら何やらガイドブックを指し示します。

どれどれ......と、おいおい『ニューアトラクションで魅力倍増のディズニーシー!』って......。

「二人きりのディズニーって初めてだよね! 楽しいわよ、きっと!」妙に無邪気な妻の目じりのしわが目につきました。

私としては熟年夫婦の落ち着いた列車の旅でも、と言いたいところでしたが、とりあえずは話に乗るふりをしました。

「ふーん、ディズニーねえ......」

いつもはダイニングテーブルを挟んで座る妻が、ガイドブックを開きながら隣の椅子(もともとは息子の場所)に陣取って、ページの写真を指さしながら身体を寄せてきます。

「ほら、これが新しいアトラクションでね......」距離を縮めようとしているのが見え見えです。

若い頃ならその雰囲気に乗ってもいいところですが、さすがにそういうムードに乗る気力はもうありません。

「おじさん、おばさんで行っても楽しめないんじゃない?」

視線をそらしながらお茶をすすりました。

「そんなことないよ! ......それとも私とじゃ嫌ってこと?」むくれる妻に思わず「まあ二人きりにはなったけど、もう若くはないんだからさ......」そこまで言ったところで、バンとページを閉じながら妻が席を立ちました。

しまった、と思いましたがもう手遅れ。

妻はそそくさとテーブルを片付けると、その日は早々に床についてしまいました。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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