この度、東京アニメアワードフェスティバル実行委員会及び一般社団法人日本動画協会は、2025年3月7日(金)から3月10日(月)まで、国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2025(TAAF2025)」を池袋にて開催いたします。
毎年、世界各国から優秀な作品が多数応募されるTAAFのコンペティション部門。本年度の長編アニメーションは26の国と地域から応募された34作品(昨年32作品)より、4作品がノミネート。短編アニメーションは70の国と地域から応募された997作品(昨年962作品)より、26作品がノミネートになりました!
~ コンペティション部門 ・ 長編アニメーション ~
■ボートインザガーデン(A Boat in the Garden)
監督:Jean-François Laguionie
製作国:ルクセンブルク、フランス/1時間15分/2024年
©Urban Sales. All Rights Reserved.
<フェスティバルディレクターのコメント>
「あっ、鋸を押してる」と気づくと、嬉しくてたまりませんでした。西欧の鋸の刃は立てる方向が日本とは逆です。だから、西欧の鋸や肉切りナイフは押して使います。
こんな些細な日常の動作を、手描きのアニメーションで緻密に表現してくれています。
1950年代のフランスを舞台に、庭でボート作りを始めてしまった両親、それに戸惑う息子の姿が丁寧に描かれています。日々の暮らしの中で長い時間を掛け、人は熟成されて育つんですね。
■クラリスの夢(Clarice's Dream)
監督:Guto Bicalho, Fernando Gutiérrez
製作国:ブラジル/1時間23分/2023年
<フェスティバルディレクターのコメント>
ブラジルの作品で、カリカチュアされたデザインと大胆なカットアウトの手法が特徴です。夜の町を手引き車で、廃品を回収して歩く父。クラリスは、夕方になると、その日の待ち合わせ場所でこの車に乗り込み、荷台のベッドで寝ます。そこでは、本来の生業であったと思われる人形芝居の人形たちが彼女を迎えてくれます。
病気で亡くなった妻を捜すかのように、家を捨て、毎夜、手引き車で町を巡り続ける父とその娘の話しです。
■アンジェロと不思議の森(Into the Wonderwoods)
監督:Vincent Paronnaud, Alexis Ducord
製作国:フランス/1時間22分/2024年
©Urban Sales. All Rights Reserved.
<フェスティバルディレクターのコメント>
誰もが楽しめるエンタテインメント作品です。危篤のお祖母さんの許に向かうアンジェロ一家。しかし、アンジェロだけが途中ではぐれてしまい、不思議な森に入り込んでしまいます。ここから先は、どうぞ見てのお楽しみ。3D版クレヨンしんちゃんみたいな笑い満載の長編です。
■ペリカンブルー(Pelikan Blue)
監督:László Csáki
製作国:ハンガリー/1時間20分/2023年
<フェスティバルディレクターのコメント>
日本の事務インクは濃紺青あるいは黒が殆どだったと思います。ところがペリカン社のブルーのインクは、澄んだ蒼い色でした。この作品は1990年代ハンガリーの実録犯罪物語りです。国境を越える自由を与えられたものの外国に行く資金の無い若者たちが見つけ出した無賃乗車の方法とは…。『ペリカンブルー』がキーワードです。僕も昔このインクを使っていましたが、あの透明感のあるきれいな蒼色を思い出し、自由を感じてしまいました。
~ コンペティション部門 ・ 短編アニメーション ~
・スロット1(全9作品) 家族向け
<フェスティバルディレクターのコメント>
是非、小さなお子さんと一緒にご覧ください。見ているだけで楽しく温かくなれる作品ばかりです。日本、ヨーロッパ、北米、南米とそれぞれの地域の醸し出す雰囲気にどっぷり浸かって、映画館で世界を感じてください。
・スロット2(全10作品) 中学生以上向け
<フェスティバルディレクターのコメント>
今年は少しだけ視聴可能年齢が上がってしまったかもしれません。社会や会社でのプレッシャー、人との出会いや別れといった、誰もが直面する問題に切り込んだ作品ばかりです。簡単な解決策はないので、一緒に考えるしかないですね。
・スロット3(全7作品) 成人向け
<フェスティバルディレクターのコメント>
性、暴力、社会格差に根差した人間の醜さを掘り起こした作品が多くなっています。どれも力作で、短編としては長めの尺ですが、飽きさせずに見せてくれます。このスロットを見ていると、知らないうちに肩に力がはいって来るんじゃないでしょうか。
ノミネート作品の詳細は以下よりご確認頂けます。
https://animefestival.jp/ja/post/19248/
TAAF2025 「学生賞」が決定!
コンペティション部門短編アニメーションに応募された作品の中から、日本国内の教育機関で学ぶ学生の作品を対象に、一次選考委員が審査を行い、TAAF2025コンペティション部門学生賞は『ヨビとアマリ』(監督:比留間 未桜)に決定いたしました!学生賞受賞作品はTAAF2025開催期間中に「スロット1」にて上映いたします。
★学生賞受賞作品
■ヨビとアマリ(英題:Yobi and Amari: Story of Spares)
監督:比留間 未桜
学校名:筑波大学 / 11分30秒 / 2024年
<あらすじ>
プレイング・カードは両手に収まるほどの小さく華やかな舞台。54“枚”の役者たちは机上で日々お客を楽しませていた。 一方、代役の白紙であるヨビとアマリは舞台裏で練習するだけの日々に閉塞感 を感じているが、ある事故をきっかけにダイヤのジャックが焼失してしまい…?
©️2024 Miou Hiruma/Mh-artworks
<比留間 未桜 Miou Hiruma・プロフィール>
アニメーション、漫画家、イラスト、脚本等を扱うアーティスト。当たり前の存在として認知すらされなくなってしまった日常の事物を、ファンタジーで再構築することで見つめ直せるような作品を主に制作している。
■TAAF2025 コンペティション部門 一次選考委員
※五十音順・敬称略
<長編アニメーション>
・井上 喜一郎(株式会社バンダイナムコフィルムワークス IP制作本部 制作部/制作管理部 デピュティゼネラルマネージャー)・斎藤 朋之(株式会社TBSテレビ アニメ事業部 ゼネラルマネージャー、プロデューサー/株式会社Seven Arcs 取締役CCO/株式会社マンガボックス 取締役(非常勤))
・治郎丸 慎也(株式会社徳間書店 編集/ライター)
・髙橋 望(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構 理事)
<短編アニメーション>
・石黒 竜(プロデューサー)・岩佐 直樹(日本テレビ放送網株式会社 コンテンツビジネス局スタジオセンター・アニメDIV プロデューサー)
・岩野 一郎(名古屋学芸大学 メディア造形学部 映像メディア学科 准教授)
・梶家 麻実(イラストレーター/アニメーター)
・片塰 満則(造形監督/光画監督/CG監督)
・佐藤 由美(株式会社朱夏 代表取締役/プロデューサー)
・高橋 賢(アニメーション監督/アクション監督/株式会社sapphirus 代表)
・野﨑 愼也(株式会社セルシス 創業者)
一次選考委員からのコメントは以下よりご確認頂けます。
https://animefestival.jp/ja/award/competition/selectioncommittee/
■フェスティバルディレクター 竹内孝次・プロフィール
1976年に日本アニメーションに入社。『母を尋ねて三千里』『あらいぐまラスカル』『未来少年コナン』『赤毛のアン』の制作に携わる。1980年、テレコム・アニメーションフィルムに移籍。『名探偵ホームズ』『じゃりン子チエ』『ルパン三世』『リトル・ニモ』等テレコム作品の制作に携わる。1990年代を中心に、ロスアンゼルスにも拠点を持ち、ディズニー、ワーナー・ブラザース等との合作作業、カナダ、フランス、韓国等とも合作作品を展開する。元テレコム・アニメーションフィルム社長。2013年アニメーション教育研究のためパリ・ゴブラン学校で学ぶ。2011年より、アニメーションの人材育成にも意欲的に携わり、産官学連携事業の「アニメーション・ブートキャンプ」をディレクターとして東京藝術大学と共に実施しており、2015年より、同プログラムを日本のみならず、シンガポール、タイ、フランス等でも実施。2020年には、本事業を行う団体として一般社団法人日本アニメーション教育ネットワークを立ち上げ、理事を務める。2014年より2019年まで、文化庁事業・日本動画協会受託の「あにめたまご」のディレクターも務めた。
2016年より東京アニメアワードフェスティバルのフェスティバルディレクターを務めている。
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東京アニメアワードフェスティバル2025 開催概要
日程:2025年3月7日(金)~3月10日(月)
会場:東京・池袋
主催:東京アニメアワードフェスティバル実行委員会、一般社団法人日本動画協会
共催:東京都
事務局:東京アニメアワードフェスティバル実行委員会事務局(一般社団法人日本動画協会内)
公式サイト:https://animefestival.jp/
※メインビジュアルのクレジットは以下をご記載ください。
©TAAFEC. All Rights Reserved.
イラスト:本田雄
-----------------------------------------------------------------------------------------------■東京アニメアワードフェスティバル(TAAF)とは
東京アニメアワードフェスティバルは、2025年で12回目の開催を迎える国際アニメーション映画祭です。
日本国内で未興行の世界のアニメーション作品を対象にした「コンペティション部門」、日本国内で発表されたアニメーション作品を対象とした「アニメ オブ ザ イヤー部門」、アニメーション業界に貢献された方々を顕彰し、先人達の歴史、技術、生き様を伝える「アニメ功労部門」を中心に、その他招待作品の上映やシンポジウム、子ども向けのワークショップなどを実施。新たな人材の発掘・育成、アニメーション文化と産業の振興に寄与すること、及び東京の魅力を発信し、東京の観光振興に資することを目的に開催します。『東京が、アニメーションのハブになる。』を合言葉に、高いクオリティとオリジナリティに富む世界中の作品を東京で上映することで、世界中のアニメーションを愛する人々との交流を図り、クリエイターや観客に刺激と感動を提供し、そしてその感動や刺激を糧にアニメーションの新たな波を東京から世界へ発信します。
■各アワードの紹介
<コンペティション部門>
広く国内外から、プロ・アマを問わず募集しています。60分以上の長編アニメーション、30分未満の短編アニメーションのそれぞれから「グランプリ」「優秀賞」他各賞を選出します。選考の柱となるのは、独創性、先進性、共感性、技術力です。TAAF2021から短編部門内に創設された「学生賞」は、日本でアニメーションを学ぶ学生のための賞となります。会期中には劇場にて、ノミネート作品の数々を、国内外の制作者と共にお楽しみ頂けます。
<アニメ オブ ザ イヤー部門>
各年度の国内全上映・放送・配信作品から最も優れた作品・個人に、「作品賞」「個人賞」「アニメファン賞」を授与するものです。アニメファンの投票で、各年度の全上映・放送・配信作品より、ベスト100作品を選出し、「みんなが選ぶベスト100」を決定。その100作品の中より、アニメ業界の第一線で活躍しているプロデューサー、クリエイター、その他メディアやアニメグッズを扱う店舗など、幅広いアニメ業界のプロフェッショナルによる投票により「作品賞」「個人賞」を選出します。また、一般ユーザーによるTwitterを通してのファン投票により、「アニメファン賞」を選出します。
<アニメ功労部門>
アニメーション産業・文化の発展に大きく寄与した方を顕彰するものです。制作現場における技術、表現、人材育成などの長年の功績をたたえるだけでなく、教育活動・国際交流など広くアニメーション産業の社会的地位の向上に貢献された方に対しても、この賞を贈り顕彰いたします。
選考には、アニメーション業界の各方面より有識者を集め、公平な審議のもと、アニメ功労部門の顕彰に相応しいとされた方を選出しています。